見学会「がもよん」

 

 

当協会会員の杦田(株)は、不動産コンサルタントの和田欣也氏(R PLACE 0FFICE表)とタッグを組んで、同社所有地の大阪市城東区の蒲生4丁目周辺の昔ながらの長屋などの木造住宅が密集する地域での古民家改修の再開発事業を長年進められている。

 当協会は去る78日、同社ご協力の元、この古民家再生事業の現地での説明見学会を開催した。参加者は18名。

 当日は、古民家の1つを地域の集会場にリノベーションした久楽庵(くらくあん)という場所において、杦田社長のご挨拶に引き続き、和田氏から、同地区で古民家再生を進めている「がもよんにぎわいプロジェクト」事業の説明が約40分あった。その後、久楽庵のあるすぐ隣にある「貸し農園」や、人気ゲストハウス(民泊)の「宿本陣幸村」、「宿本陣蒲生」の2棟、そして和食店である「蒲生庵 草薙」などを見学したのち、午後245分現地解散で、見学会を終了した。

 

「がもよんにぎわいプロジェクト」

 大阪市城東区は人口密度全国第4位、西日本で1位を誇る人口密集地域。その中でも蒲生4丁目周辺は特に密集エリアで、半径2km内に7万人もの人々が暮らしている。

 その蒲生4丁目、略して「がもよん」と呼ばれるこの地域は、戦前に建てられた民家、長屋が空襲に合わず多数残っていて、最低でも70年を超える家が軒を連ねている。当然、空家も近年増えてきていた。

 そんな中、今から10数年前、社長自宅の一部にあった120年前の米蔵をパーキングにしようという話が社内で持ち上がった。しかし社長は、何とかこの米蔵を残したいという思いが強く、そんな時、和田氏と出会い、米蔵の活用を相談したことから、この事業がスタートした。

 様々な話合いがなされた後、米蔵は同氏プロデュースによる和風の風合いを残したイタリアンレストラン「イルコンティヌオ」に生まれ変わった。このレストランはオープン当初から大きな話題になり、今では人気店になっている。

 これをきっかけとして、和田氏とタッグを組み、地域における「古民家再生プロジェクト」が進んでいった。現在まで古民家の30数店が再生され店舗に生まれ変わった。これらの古民家再生に当たっては、建物は全てまず耐震工事をしたのち内装のリノベーションが行われているのが特徴。

 このプロジェックを進めるにあたって、地域の深みを増すために、単に飲食店舗だけを誘致するだけではなく、その他の多種多様の施設も誘致したいとして出来上がった1つが、民泊用のゲストハウスで、既に2棟が営業を始めている。その1つの「宿本陣幸村」は大阪での民泊用ゲストハウスとしては1,2位を争う人気宿になっている。この部屋の内部は、真っ赤な壁に墨絵で幸村が描かれているあっと驚く内装で、ゲスト客を驚かせている。ゲストハウスは1棟貸しで6,7人まで宿泊が可能。

 また昨年、大阪を襲った台風で古民家4軒が大きな打撃を受けたので、これを全て取り壊し、130坪の更地にした上で、これを30区画に分けた家庭菜園用の農地に整備し、貸し出したところ、1か月で全区画が埋まるほどの好評を得た。1か月の利用料は1区画4000円。

 また街としてのポテンシャルを上げていくために、その他にも5軒長屋をぶち抜いて「マニヤック長屋」というアトリエを作った。ここでは服、鞄などを作って販売している。

 このように下町の風情や古くからの長屋的な町並みを生かしつつ、がもよんならではの賑わいのある町を作っていっている。